かどた無双房鍼灸院

五臓六腑 肝A

ダニエル・キーオン著「閃めく経絡」を参考に肝について書きます。

 

肝臓の位置を確認しておきます。
胸部は左右12本ずつの肋骨で囲まれて、その中には左右の肺と心臓があります。
心臓は心膜というファシアに包まれています。
東洋医学でいうところの心包ですね。
そして心膜に覆われた心臓のすぐ下に体の上下を隔てるように横隔膜があります。
横隔膜も心膜も発生学的には中胚葉由来です。
この横隔膜の下に肝臓は密接しています。
すべての臓器に言えることですが、肝臓も漿膜(臓側腹膜)ファシアに覆われています。
ですが、肝臓の最上部で横隔膜の真下のみ漿膜(ファシア)で覆われない無漿膜野があります。
ここを肝冠状間膜といいます。
漿膜(ファシア)がないため、ここは感染が腹部から胸部へと移動するポイントとなります。

 

腹腔の底部は直腸、卵巣、卵管、子宮、膀胱を包み込んでいます。
卵管はラッパ管とも呼ばれ、先端が広がって腹腔に開いています。
卵管は卵巣から放出される卵子を捕らえます。
西洋医学では、腹腔内の体液は回路内を移動していきます。
肝臓に始まって腸を突き進み、骨盤まで下降します。
骨盤で卵管を通して外部とやりとりし、肝臓の下に戻ってきて終わります。
この体液はリンパに吸収されます。

 

肝と腹腔は2つの通り道があります。
鼠経管と大腿管。
鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)を起こすことがある組織的に弱い場所。
鼠経管は中医学では、下っていって精巣と陰嚢周辺で循環すると記載されています。
この場所は自然と抵抗が小さくなっているファシア面です。
抵抗が小さいところを氣は流れます。
大腿管は肝経が脚に表われる箇所と一致しています。

 

中医学の視点でいうと、肝と心包は同じ厥陰経です。
厥陰の厥は戻ることを意味すします。
陰が極まるところの陰であり、極すれば転じるで、陰が尽きて陽が生じるところです。

 

肝臓は内胚葉由来ですが、初期は中胚葉由来の横隔膜の一部である横中隔によって発達を導いてもらう必要があります。
肝臓の成長は横中隔に誘発され、結合組織を生じさせます。
横隔膜は胸膜心膜ひだと融合します。
胸膜心膜ひだはのちに心嚢を形成するものと同じです。

 

肝臓はとてもファシアにゆかりが深い臓器です。
門脈系を通じて腹部のあらゆる消化器に接続し、さらには靭帯を通じて横隔膜、食道、胃、膵臓とつながっています。
肝臓から発生する5つもの靭帯があります。
中医学では肝は将軍にたとえられています。
肝から多くの命令が発せられているのです。

 

門脈系は食物から吸収された栄養素が豊富に含まれ、心臓を経ずに腸から肝臓に血液が流れています。
腸に体全体の約2/3のリンパ節があると言われていますが、それを潜り抜けた害毒は肝臓にたどり着くのです。
腸から来る血液は食べ物など多くのものを含んでいます。
心臓に行く前に肝臓が血液をきれいにすることが重要となります。
解毒作用で無毒化し、細菌は殺され、脂肪はこなれたものになります。
これは心を保護する厥陰の機能です。

 

この働きがうまく機能しないときは別の動きが起こります。
危機的状況で肝臓がダウンすると、門脈系の血圧が上昇します。
肝臓は汗をかくように体液を腹腔内に出します。
この腹腔は腹部で巨大な空間を作っています。
ちなみに腹腔鏡手術はこの空間で行われています。

 

具体的にいうと、肝疾患では腹腔内は腹水で満たされます。
腹水は肝氣血の滞りが極端になったものです。
事態が深刻になった時に生じる現象です。
腹水に関する主な問題は門脈圧亢進です。
このことから肝が腹腔内の体液を円滑に流れさせていることがわかります。
極論すると、肝と腹腔は同じものであるといえます。
肝は腹腔を制御している。
中医学では、肝に問題があると氣の流れをさえぎってしまう、と考えています。

 

氣は血の指揮官です。
組織化のエネルギーは血を必要な場所に動かします。
氣が行くところに血は従います。
氣はファシア面を流れます。
体で最大のファシア面は腹腔です。
肝は腸(門脈)の血圧を低くして血液と氣が円滑に流れるようにすることで
腹腔に体液が貯まらないようにしています。

 

門脈血流がゆっくりで血液がドロドロなら、検査でひっかからなくても問題があります。
門脈血流がドロドロしてくると、その上流である腸が腫れて肥大化します。
これは過敏性腸症候群で見られます。
肝氣の円滑な流れは消化を助けます。
中医学では過敏性腸症候群の施術に肝をよく用います。

 

中医学における肝の働きはいくつもあります。
肝は血を貯蔵する役割をもっています。
日中に起きているときに全身をめぐっている血は、睡眠時に肝に帰ります。
心臓から肝臓自体への血液供給だけでなく、消化器全体の血液が肝に流れます。
門脈系のことですね。
横隔膜から下のすべての血液は大静脈を介して横隔膜を通過して心臓に戻ります。。

 

肝血は月経を調整します。
肝臓は血液にとって非常に重要です。
肝臓は血中に浮遊するたんぱく質、脂質、コレステロール、凝固因子を制御・生成します。
これらはすべて基本的に血液中の水分に溶けずに脂溶性で浮遊しています。
肝臓は血液中の脂肪成分を制御します。
中医学での肝血とは血の脂溶性懸濁液成分と思われます。
凝固因子は肝血と月経の関連をとても明瞭に示しています。
凝固因子の障害で重い出血が引き起こされます。
機能性子宮出血になると、ヒスタミンレベルが上昇します。

 

肝臓と関係しているホルモンの一つに「ヒスタミン」があります。
肝臓はヒスタミンを分解する主な臓器です。
ヒスタミンは肝疾患になると分解できずに濃度が上昇します。
このため抗ヒスタミン薬は肝不全の治療に役立ちます。
ヒスタミンの特徴は人をイライラさせます。
アレルギー、発疹、じんましん、虫刺されでかゆくなったりヒリヒリしたりするのはヒスタミンが原因です。

 

中医学では肝は怒りの限界点を適正に抑えて感情面でも制御します。

 

五志といって五臓と深い関係のある感情がそれぞれありますが、肝は怒です。
ヒスタミンはイライラを感じさせるだけでなく、病原菌や寄生虫に対して過敏に反応するようになります。
ヒスタミンは肥満細胞と呼ばれる特殊な細胞の中にある顆粒に含まれます。
月経で肥満細胞は顆粒からヒスタミンを放出します。
これが月経時にイライラを引き起こす原因の一つです。
イライラさせるだけでなく、子宮で血液と体液が漏れ出ます。
ヒスタミンは月経前症候群(PMS)にも関係します。
主な症状は頭痛・不眠症・疲労・吐き気・腹痛・下痢。
ヒスタミン不耐性にも関係します。
チョコレート、赤身の肉、アルコールなどには高レベルのヒスタミンもしくはその元となるアミノ酸であるヒスチジンが含まれます。
PMS患者がこれらの食品を食べると、増悪するリスクが高まります。

 

月経には周期があります。
これにはエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが関与します。
PMSの症状の多くはこのホルモンの不均衡に起因することが多いです。
ヒスタミンはプロゲステロンのレベルを上昇させます。
中医学でいう肝による月経の制御は、その一端がヒスタミンの代謝を通じて行われる、ということになります。

 

五主といって五臓から栄養を補充されて健康な状態になる器官があります。
肝は筋です。
この場合の筋は筋肉ではなくスジです。
腱や靭帯のことです。
腱は筋肉と骨をつなぎ、靭帯は骨と骨をつなぎ、肉離れを防ぐ結合組織です。
肝の働きが落ちるとスジが弱くなり、腱断裂、硬い腱、筋肉の断裂を引き起こします。
コレステロール代謝が異常になると断裂しやすくなることが研究で示されています。

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