かどた無双房鍼灸院

五臓六腑 脾A

ダニエル・キーオン著「閃めく経絡」を参考に脾について書きます。

 

 

脾臓のことをイギリスの医学生はこう覚えます。
「厚さ1インチ×幅3インチ×長さ5インチ、重さ7オンス、第9〜第11肋骨の下に位置する」
日本になじみのある単位に置き換えると
「厚さ2.5センチ×幅7.5センチ×長さ12.5センチ、重さ200グラム」

 

東洋医学の脾と異なり、西洋医学における脾臓は消化には関係ありません。
ですが以下のような特徴があります。
・消化管から生じる
・消化器と同じところから血液供給を受ける
・消化器に関与していない血液が肝臓に流れる唯一の臓器である

 

脾臓は明らかな害がすぐに起きずに比較的うまく切除できる唯一の固形臓器です。
なんらかの原因で脾臓破裂させた人は脾臓を切除しますが、
特定の細菌による感染症などによって健康状態を損なうことはありますが、
直接致命的になることはありません。

 

西洋医学の脾臓の働きは、
・古くなった赤血球や血小板の破壊や除去といった血液のろ過
・免疫系の細胞を蓄える
・制御する免疫の指揮所と兵舎
・感染と戦う白血球のコントロールセンター
西洋医学の脾臓を一語で要約すると「血液」です。

 

一方、東洋医学における脾には異なる働きがあるとしています。
・意を蔵す
・血をつつむことをつかさどる
・食物の変換と輸送を制御する

 

東洋医学の脾の主な役割は、食物の血と氣への変換と輸送を制御する。
一語で要約すると「消化」です。

 

「難経」では膵臓を脂ぎった臓器としか書かれていません。
膵臓=命門ではなく、命門は膵臓にある精(神経堤細胞)であり、大いなる組織化を可能にします。
膵臓と脾臓は非常に密接に関連し、1つの臓器と考えられます。
膵臓と脾臓は十二指腸から生じます。
膵臓から先に生じ、それから脾臓が帽子のように覆います。
膵臓は前腎傍腔(太陰)に位置し、その先端は腹膜腔(厥陰)に位置します。
膵臓と脾臓は発生学的には、膵臓が形成されるためには脾臓からの信号を必要とします。
両者は動脈の血液供給である脾動脈を共有し、同じ静脈へ排出します。

 

脾臓摘出によって糖尿病を悪化させると考えられる理由は、脾臓が膵臓の幹細胞を含んでいるからである。

 

脾臓は再生できる唯一の固形臓器です。
この理由は脾臓が切除されても臓器の半分位すぎないからかもしれない。

 

膵臓内部で別の脾臓「副脾」が見つかることがあります。
膵臓の線に沿って脾臓は伸びていくからです。
この2つの臓器はことれまで挙げたように、共通の発生、血液供給、ファシアのつながりを共有し、成人期でも互いに支えあうという強い証拠があります。

 

 

脾陰と脾陽。消化の陰陽。
膵臓は消化性の火を提供し、食物を変容させます。
脾臓はホルモンのセロトニンを介してその速度を制御している。
脾臓は脾陽であると考えている。

 

膵臓は2つの機能があります。
1つは酵素(消化性の火)を提供して食物を分子レベルまで細かく分解します。
言い換えると、食物の変換です。
もう1つの機能は食物(グルコース)を輸送するためにホルモン(インスリン)を提供することです。
糖尿病は膵臓が十分なインスリンを産生しなくなる疾患です。
グルコースが血中にふんだんにあっても、細胞はインスリンなしでは
グルコースを取り込むことが出来ません。
インスリンは食物のこの輸送を可能にします。
東洋医学の脾の変換と輸送の機能は完全に膵臓の機能を反映しています。
これら2つの機能(特にインスリンの放出)を制御する最も重要なホルモンの1つがセロトニンです。
セロトニンは通常、多くのホルモンと同様にオンオフの引き金として作用します。
しかし、身体で重要な機能であるインスリン分泌においてセロトニンは引き金ではなく、制御しているように見えます。
セロトニンとインスリンは非常に密接にかかわるため、
細胞生物学者はインスリンの放出をセロトニンを測定することでモニターしているほどです。
セロトニンは脾臓と膵臓、脾をつなげています。
セロトニンSerotoninは血管sero 収縮toninさせるものという意味です。

セロトニンは幸せな気分にさせるホルモンとして有名です。
95%以上は脳ではなく腸から発見されます。
公式名称は5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)です。
ホルモンと神経伝達物質はもともとは別のものと考えられていましたが、
最近は区別がつかないだけでなく全身いたるところで多様な働きをすることが明らかになってきてます。
セロトニンは腸、血液、脳で見つかりそのほとんどは腸です。
膨大な量のセロトニンが腸で貯蔵され、適切な速度で食物を動かすのにかかせません。
腸全体にセロトニンをたくさん産生する腺があります。
腸が病原体や毒素で妨げられるとセロトニンの放出を急増させて腸にある内容物を放出する。つまりは下痢を引き起こします。
血液にあるセロトニンの99%は血小板で見つかります。
血小板は腸から漏れるセロトニンを取り込みます。
脾臓は血小板を貯蔵、破壊します。

 

 

脾陽(膵臓)は湿を変換する
湿は体に水分が多すぎる病態です。
心不全も腎不全も利尿剤で余分な水分を排出する治療をします。
このことから体には水分が蓄積することができることが分かります。
ポンプ機能(心臓)不全、水分の排出能力(腎臓)不全により水分過剰(湿)が生じます。

 

過敏性腸症候群(IBS)も中医学的にみると別の種類の湿です。
この湿は脾陽(膵臓)の不足で引き起こされ、心臓や腎臓の機能不全とは性質が異なります。
脾陽(膵臓)の湿は液体を動かせないのではなく、代謝障害の湿です。
心臓と腎臓の機能不全では、湿は下の落ちてきて足関節で腫脹(むくみ)を生じさます。
脾陽(膵臓)の湿は正中線の周りで液体を蓄積させます。
ビール腹や腹部膨満などがそうです。
肌の色も随分異なります。
心臓と腎臓の機能不全は多くの場合、灰色、暗色、青色になります。
脾陽(膵臓)の湿の患者は黄色に見えます。
五行的にも脾の五色は黄色です。

 

脾臓が活動しすぎている人は黄色くなります。
黄疸(jaundiceジョーンディィス)という単語はフランス語「jauneジョーン」に由来し、
黄色い皮膚を表します。
黄疸は赤血球の欠陥品が破壊されて過剰なビリルビンが生じることによって起きます。

 

脾陽(膵臓)の不足における湿の黄色い肌は、脾臓の過剰な働きによる鮮やかな黄色とは異なるものです。
過剰(実)と不足(虚)。
実の病態は体に余分な何か(多くは病原体、この場合はビリルビン)が加わることによって引き起こされます。
実の病態はより劇的で明確です。
虚は身体が適切にその役割を十分に行えないことで引き起こされます。
虚の病態は何かが不足していることを意味します。
しかも、病像は通常複合しています。

 

黄疸患者はかなり黄色くなります。
脾臓が活動しすぎて過剰なビリルビンを生じさせているためです。
それに対して膵臓の不足(虚)によって生じる黄ばんだ色はとらえにくいです。
元気のない膵臓が毒素とそれに伴う液体を蓄積させます。
この病態が現れる最も一般的な疾患の1つが過敏性腸症候群(IBS)です。
膵臓の不足(虚)による湿の場合、浸透の結果として生じます。
湿は最初に毒素の代謝産物として現れ、それから毒素の代謝産物が水分を引っ張り込みます。
水分が解けた物質に伴うこのプロセスは浸透と呼ばれます。
細胞は、細胞内部、または細胞外部の液体の量を調整するために浸透を用います。
代謝産物があってはならないところに現れる(毒素)と、
バランス(ホメオスタシス)をひっくり返します。
毒素は水をひきつけます。
体は効率的に毒素を処理できないため、水と毒素は長く居座ることになります。
これが「湿」の正体で、消化管でよく見られます。
なぜなら腸は食物を腐熟する性質を持っているので毒素を熟成させやすいからです。

 

湿は尽きることがありません。
湿は物質を停滞させる傾向があり、身体のシステムから物質を掃除する能力を弱めます。
この停滞の結果として代謝が減速して毒素が形成されやすくなります。

 

 

 

 

毒素の一例は膵臓が十分なインスリンを作れなくなるときに引き起こされる過剰なグルコースです。
高血糖状態は健常ではなく有毒・有害です。
グルコースは腎臓であふれて浸透により水分を吸収します。
結果として頻繁におしっこに行くようになり、失われた水分を補充しようと喉が渇く現象が起こります。
最終的に重度の脱水症状を起こし、インスリン注射のお世話になります。
過剰なグルコースによって生じる浸透性の湿で引き起こされるのです。
糖と水分は組み合わさって体からあふれ出し中身を甘く、粘っこく、厄介なものにします。
長い時間を経ると湿はより病的で汚いもの、痰(固まった湿)に変化します。
痰は熱が作用した湿です。
体において湿は不活発ではありません。
体は温かいので弱火でスープをコトコト熱するようにに煮詰めていくのです。
どんどん粘っこくなり液体ではなく粘着性の糊のようになります。
そして硬くて除去が難しい特徴をもちます。

 

粘液と痰、アテローム硬化性プラークは免疫反応の生成物で、
死んだ白血球とその敵でできています。
白血球は病原体や毒素に反応しています。
白血球は病原体に対処するために熱を使う、言い換えると炎症を起こしています。
病原菌による痰はこれに当てはまるが、アテローム硬化性プラークの場合はよりとらえがたいもので、そのプロセスは遅く何年もかかります。
体に対する影響は非常に破壊的なのが特徴で、どこでも起こりえます。
・腹部の癒着:白い粘着性のひものようで、腸をしばしばり閉塞を引き起こす
・筋膜炎・腱炎:摩擦の増加と腱が動けなくなることで痛みが生じる
・副鼻腔炎:副鼻腔における慢性的な痰の形成
・糸球体炎:腎臓の炎症
・気管支炎
・臓器の周りの脂肪(内臓脂肪)は疾患の深刻なリスク因子である
痰はいたるところで病気の原因となります。
湿と熱の組み合わせによって痰が形成されています。

 

心臓のプラークのリスク因子
・喫煙(熱と毒素の形成)
・糖尿病(湿の形成)
・高コレステロール(痰そのもの)
・家族歴(痰の形成に対する傾向)
・肥満(痰)
・怒りの抑制(この感情は熱を引き起こす)

 

脾は湿を嫌う。赤血球が古くなっていびつな変形をしたり柔軟性を失ったりして毛細血管を通れなくなることによって血の滞りを引き起こす。

 

 

 

脾主統血
脾は統血をつかさどる
といって血液が脈外に漏れださないように制御するはたらきがあるとされています。
難経四十二難に「脾裹血、温五臓」とあります。
裹guo3は包むという意味で、
「脾は血液を包んで外に出さず、五臓を温める」と訳します。

 

脾臓がどうやって毛細血管に影響を及ぼすことができるか?
これにセロトニンが関与している。
Serotoninは血管sero 収縮toninさせるものという意味です。
セロトニンは幸せな気分にさせるホルモンとして有名です。
実は95%以上は脳ではなく腸から発見されます。
公式名称は5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)です。

 

ホルモンと神経伝達物質はもともとは別のものと考えられていました。
しかし最近は区別がつかないだけでなく、全身いたるところで多様な働きをすることが明らかになってきてます。
セロトニンは腸、血液、脳で見つかりそのほとんどは腸です。
膨大な量のセロトニンが腸で貯蔵され、適切な速度で食物を動かすのに欠かせません。
腸全体にセロトニンをたくさん産生する腺があります。
腸が病原体や毒素で妨げられると、セロトニンの放出を急増させて腸にある内容物を放出します。
言い換えると、下痢を引き起こします。
また、セロトニンの大放出は血液に流れこみ、血小板がそれを吸い取る能力を圧倒します。
一方脳では、セロトニンは脳幹にある嘔吐中枢に働きかけて問題のある内容物を拒絶して放出させる。
言い換えると、嘔吐させます。
同じセロトニンでも、異なる受容体を用いることで複数の異なる効果を持つことが出来ます。
上では嘔吐、下では下痢と体内の毒素を一気に排出することができるのですね。

 

脳のセロトニンは嘔吐だけでなく強迫性衝動障害(OCD)にも関わります。
「反芻する」
「消化する」
「かみ砕く」
これらの言葉は消化にも思考にも適用できるフレーズです。
「熟考する」mull overの
mullの語源は中世英語の mollen 「湿らす、砕く、粉をひく」といった意味の単語です。

 

中医学の脾と膵臓は五行との関係でいうと、
五志では「思」です。
「思」は思考・思慮のことで、精神・意識・思惟活動の一つです。
考えすぎ、心配事、勉強のしすぎも腸に悪影響を与えます。

 

IBS過敏性腸症候群患者が心配性に見える理由は同じ疾患の別の兆候だからです。
つらい腸症状を引き起こしているセロトニン障害は
明確に考える能力を減少させているのです。
強迫性衝動障害(OCD)は思考の問題の一例として、
反復する行動や心配といった症状が現れます。
鍵をかけ忘れていないか確認しに家に帰ったりすることがありますが、
OCD患者はこのような考えを払いのけられずに身動きがとれなくなってしまいます。
脅迫衝動反応は、もし手についた細菌を気にしだすと、
心配すぎて出血するまで手を洗ってしまいます。

 

この症候群は日本では未承認ですが、「閃めく経絡」に述べられているまま書くと、プロザックという名の5-HT薬剤で脳のセロトニン濃度を上げると良い効き目をみせます。
しかし薬をやめるとすぐに再発します。
これは脳が問題なのではなくて、腸における異常なセロトニン代謝が原因だからです。
日本ですと、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、英語: Selective Serotonin Reuptake Inhibitors, SSRI)の他の薬が使われています。
日本で発売されているSSRIはフルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、エスシタロプラムです
健康な人の場合、腸のセロトニンが脳に入ることはありません。
血液脳関門という、たとえるならば脳に入るための関所のような場所があり、ここでチェックされています。
ですが、病気の場合はここを突破されてしまいます。

 

 

 

脾臓はセロトニンと密接な関係があります。
セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから5-ヒドロキシトリプトファンを経てセロトニンになります。 人体内には約10mg存在します。
・全身にあるセロトニンの95%は腸から産生され存在する。
・血液にあるセロトニンの99%は血小板で見つかる。血小板は腸から漏れるセロトニンを取り込む。
・脾臓は血小板を貯蔵、破壊する。
このような脾臓、セロトニン、血小板の関係性は興味深いですね。

 

脾臓は身体の血小板にとって最も重要な臓器です。
脾臓は最大で血中の1/3の血小板を貯蔵し、血液循環から異常なものを取り除き破壊します。血小板の障害が見られる場合、脾臓がいつも関わっています。
・脾臓は食物を輸送するために脾臓にある5-HT1受容体を介してインスリンの量を調整している。
・脾臓は5-HT2を介して血小板と血液凝固に対するセロトニンの効果を調整する。そして脾臓は脳に漏れるセロトニン量も調節しているが、これが5-HT2受容体を介して脳に作用するとくよくよ思い悩むようになる。
・脾臓は腸管を流れる血液中のセロトニン基礎量を調整している。セロトニン量によっては下痢が起こることもある5HT-3。逆に便秘が起こることもある5HT-4。
・脾臓は、その兄弟である膵臓とともに食物吸収の機能と、その結果としての力強い筋肉の作る能力をつかさどり、引き締まった肉体を保つ

 

もし脾臓を摘出すると、どこかしら具合が悪くなることが多い。
・血液はドロドロになって粘性が高まる。
・感染が増える。血糖値が上昇する。
・患者は毒素と湿を貯めこみがちになる。
・より疲れやすく、ぼんやりするようになる。

 

しかし生活はおおむね支障なくできます。
それには2つ理由があります。
1) 脾臓は東洋医学における脾の半分にすぎなません。もう半分は膵臓です。
おそらく膵臓がいくつかの役割を引き継ぎ、脾臓の代わりに構成するための信号を送ると推測されます。
脾臓と膵臓は双子のようなものです。
脾臓には膵臓の幹細胞があり、膵臓に副脾ができるのはそのためです。

 

2) 脾臓の機能のうち、いくつかは肝臓によって引き継がれます。
数か月内に肝臓が血小板を除去するプロセスを引き継ぎ、血小板の数値は正常に戻ります。
血小板が調整できると、セロトニンの血中濃度は正常になり、脾陰の機能は調整されます。
しかし肝臓はそこまでうまく機能しないので、糖尿病と血栓症がよく起こるようになります。

 

この著者は東洋医学における脾は現代医学における脾臓と膵臓をあわせたものと捉えています。
私もその考えに賛成です。

 

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