かどた無双房鍼灸院

五臓六腑 肺A


マイケル・キーオン著「閃めく経絡」を基に肺について書いていきます。

 

肺は相傅(そうふ)の官なり
これは素問の霊蘭秘典論篇第八に書かれています。
「傅」の意味は
おもり、もり役、養育係としてそばに付き添う
「傅」の音読みは「ふ」です。
訓読みでは「いつく」「かしずく」と読みます。
君主を助けて政治を行う補佐役のことを指しています。

 

霊的な生命は密接に肺とつながります。
Respiration呼吸 
Inspiration霊感 
の語源はラテン語のspirare呼吸する です。
ラテン語由来の言語、スラブ語、バルト語派、中国語、スカンジナビア語は
霊性と呼吸を関係させています。

 

インドのヨガは呼吸で精神と霊性を変容させます。
世界中の多くの文化で、社会のより高い所にある霊的側面が
合唱、呼吸、肺と関連しています。
中国だけでなくインドやヨーロッパの多くの国でも同様なのが興味深いところです。

 

肺は五臓(肝・心・脾・肺・腎)の中で最も高い所にあるだけでなく、最も高尚な物質である空気を吸うため、
身体と霊性の間でつながりを作ると考えられています。

 

肺が実行する最も重要な物理的次元の機能は二酸化炭素を酸素と交換することです。
肺はこれを効率よく行います。
肺が虚脱して縮めると、こぶしサイズのボールくらいの大きさになります。
肺の表面を伸ばして広げると、テニスコートを覆うほどの大きさになります。
これほど巨大な面積がこれほど小さい空間におさまる理由は、
肺が途方もなく薄いからです。
伸展した肺胞の上皮細胞の厚みは一般的な紙の厚さのわずか200分の1(500ナノメートル=0.5マイクロメートル以下)のナノフィルムです。

 

このナノフィルムはたとえると、逆さまの木についた葉っぱを形成します。
木の幹が気管、
枝が気管支、
小枝が細気管支、
葉っぱが肺胞に相応します。
このたとえは物理的な類似性だけでなく、機能的な類似性も共有しています。
自然は機能のために形態を利用します。
葉っぱは膨大な表面積を生み、日光をとらえて
二酸化炭素と水を糖に変換します。
肺の肺胞は広大な表面積を生み、血液をとらえて
血液に貯蔵した炭酸イオンを二酸化炭素と水に変換します。

 

木と肺はいずれも二酸化炭素を内部へ拡散させ、酸素を外(血液)へ放出させます。
血液のヘモグロビンは酸素をどん欲に閉じ込め、
葉っぱの葉緑素は二酸化炭素をどん欲に閉じ込めます。
肺胞膜のような葉っぱは酸素と二酸化炭素を横切らせるために非常に薄い形状です。
葉っぱでは日光がこのプロセスを動かします。
身体では霊性がこのプロセスを動かします。
木の小枝、枝、幹は肺に類似した多くの機能を有します。
栄養分を葉っぱへ運んで糖と他の物質を根に移します。
同様に、肺では気管と気管支は肺胞に構造を与えて酸素を肺胞まで運び、
二酸化炭素と水を鼻に戻します。

 

肺は非常に繊細で美しい蜘蛛の糸のような葉っぱを持つ樹木が逆さまになり、血液のプールに沈められているとみなすことができます。
血液は心臓の右側にある静脈系の右心室から出て肺動脈を通って肺に行き、肺でガス交換をしてから肺静脈を通って心臓の左側にある動脈系の左心房に戻ります。
肺動脈という川として始まり三角州のように無数に枝分かれしていきます。
末流は1つの赤血球がかろうじて通れる大きさにまで枝分かれします。
ここで肺胞の葉を覆い、血液をきれいにして再活性化させるプロセスは完了します。
炭酸イオンは二酸化炭素として泡立って放出されます。
ヘモグロビン分子は酸素をどん欲につかみます。
血液は青から赤に変わりエネルギーを与えられます。
三角州のように無数に枝分かれしていた末流が再び合流して川へと再形成され始めます。毛細血管は合流して静脈を作ります。
静脈は肺静脈を作り、心臓の左側の左心房へと流れていきます。

 

肺をよく観察すると、肺組織以上に血液のほうが多いことがわかります。
木は葉っぱの間、枝の間にある空間が空気と光が循環するために必要です。
肺もそれと同じで肺の周りは血液で満たされております。
肺は肺組織の中に血液が流れ込む、というよりはむしろ、
非常に薄い膜から成る肺が血液中に浮遊しているとも言えます。
このあたりが中医学で肺は繊細な臓器とされる理由と考えられます。

 

肺の病気の中で有名なものの一つに肺気腫があります。
最近では慢性気管支炎や肺気腫の総称として慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)と呼ばれています。
本来の肺構造が破壊されて肺胞に空気がたまってしまい(気腫)、うまく息を吐けなくなってしまう病気を指します。
肺胞はブドウの房のような形をしており、ひとつひとつの小さい部屋に分かれています。その部屋にはそれぞれ空気が含まれており、酸素が血液中に取り込まれたり、二酸化炭素が排出されたりといった呼吸機能を果たしています。
しかし、肺気腫ではひとつひとつの部屋のあいだの仕切りの壁が壊れてしまい、小さい部屋同士が空間的なつながりを持つようになっています。
肺気腫を引き起こすプロセスから分かるとおり、肺は乾燥で容易にダメージを受けます。
乾燥で肺の膜が焼けるためです。
液体も肺の空間を容易に満たします。

 

木は日光と空気を土の要素につなげます。
木は大地の微量ミネラルを太陽エネルギーに結合させて炭素のブロックを作り、緑のまばゆい世界を作ります。

 

肺と木の共通性、実におもしろいですね。

 

 

肺と血液について
肺は酸素と霊性が入ってくるのを調整するだけでなく、
胸部の血液の運動も調整しています。
呼吸するたびに胸部の圧力は変化します。
息を吸うときは、空気が吸い込まれるために圧力は下がります。
胸郭を構成する肋骨の間にある肋間筋や上下の後鋸筋、横隔膜などの働きで肺の入っている空間の容積が大きくなるからです。
この圧力の減少は空気を吸い込むだけでなく、心臓からの血液も肺に吸い込みます。
心臓の血液量の変化は少し遅れます。
心臓は満たされるのに時間がかかるため、鼓動するのに時間がかかります。
息を吐くときはこの逆が起こります。
胸部では圧力が上がって息を放出し、血液は肺から心臓に押し出され、
心臓はさらに速く満たされ、心臓はさらに速く鼓動します。
酸素で血液にエネルギーを与えるときに、肺も血液の性質を量的に変えています。
このプロセスは炭酸イオンを酸素のために動かすだけでなく、
血液をきれいにするように働きます。
酸性の血液は赤血球の組織にダメージを与えます。

酸はタンパク質と細胞壁とを結合して変形させてしまいます。
この破壊は赤血球の最も重要な特性の1つである細胞の柔軟性を奪います。
破壊の程度が極端だと、この酸は酵素を形成するたんぱく質をつぶし、
酵素が働かなくなってしまいます。
このプロセスが持つ血液浄化の側面は、それぞれ太陰である肺と脾を関連づけます。
中医学でいうところの変容した「湿」の例です。
肺は毒素を放出する作用によって湿を絞り出します。
この場合の毒素とは炭酸イオンのことです。
体は大部分の二酸化炭素を炭酸イオンの形で貯蔵し、その結果として血液は浸透効果を持ち液体を引きずり込みます。
肺は二酸化炭素を放出することによって、同時に水分も放出します。

 

西洋の考え方でいうと、肺が胸部の血液を調整する最も重要な方法は
血液をフィルターに通すことです。
すべての血液は心臓の右側から肺を通って心臓の左側に流れます。
これは肺だけで、他の臓器はすべての心拍出量を受け取ることがありません。
肺は心臓が鼓動するたびにすべての血液を受け取ります。
それだけでなく、この血液はよどんで、重く、凝固しやすい静脈血です。
肺は酸と二酸化炭素を含む血液をきれいにするだけでなく、
凝血塊と泡ができてしまったらそれも浄化しています。
肺には側副血行路がたくさんあるので、小さい凝血塊が多少引っかかっても
問題になりません。
これがもし脳や腎臓、心臓の左側から流れる冠状動脈の血流で同じことが起こってしまったら、凝血塊はなんらかの発作を起こしてしまうことでしょう。
もちろん肺も小さい凝血塊なら網目状の側副血行路がたくさんあるので問題ありませんが、
許容範囲を超えると肺動脈を詰まらせて肺塞栓と呼ばれる状態になり、息切れを引き起こします。

 

発生学的に見ると、肺が胸郭の中で育っていくときに、心臓から結合組織が分かれてやってきます。
この結合組織は胸郭内で胸膜と心嚢膜というファシアを形成するだけでなく、
肺と心臓を隔てる膜となります。
基底膜と呼ばれるこの結合組織は極めて強靭で、肺の基底膜は血塊を捕捉して左心系の循環に入って血栓症の発作を起こさないように防いでいます。

 

中医学では心は皇帝、肺は宰相にたとえています。
宰相は皇帝を守り、皇帝の行動を制御します。
制御できない皇帝は国を荒廃させ、破壊へと導きます。
宰相の役割は皇帝を皇帝自身の暴走から守り、
皇帝が家臣から受け取るものにフィルターをかけることです。
呼吸には精神を制御する能力があります。
ゆっくりと深呼吸することは、皇帝の機嫌を心配する国民からの処方箋となることが多いです。
国民が皇帝に宰相の話を聞くように訴えているのです。
このようなたとえ話はいかにも中国の古典ものらしくて好きなところです。

 

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